何度読んでも面白い! [読書]

以前にも読んでいたが、NHKで竜馬伝が放送されたのを契機に再度読み返してみた。
感想は…やはり何度読んでも面白い!という一言に尽きる。
筆者も何度も書いている「竜馬は幕末の奇跡」という言葉は正に言い得て妙だと思う。
現代に於いては当たり前の事柄が当たり前でなかった当時に、天が時代の収拾の為に彼を遣わしめた、という感は著者ならずとも思わざるを得ないような…。
竜馬の生は今の時代を思うと本当に短い。
中でも本当の活躍時期は実に短い。
しかし、その生はやるべきことを成して費えたように思える。
正にその為だけにこの世に生を得た如くである。
思うことはある。
もし竜馬がもう少しでも永く生きていたら…鳥羽伏見の戦いや、その後の悲惨な戊申戦争はあれほどの惨劇を見ないで済んだかも知れない。
慶喜もあんな形で逼塞せずに済んだかも知れない…と。
そうすれば、明治期にもっと人材が残ったかも知れぬことを思うと非常に残念な思いがする。
しかし、やはり歴史に「もしも…」はないのだ。
過去を取り戻すことは出来ない。
歴史はこれからの未来への警鐘であり道標なのだ。
ところで、取り上げる主人公に対して敵対関係にある側をどうしても悪役にしがちだが…私はこの時代に生きた人達は、皆それぞれが自分の信じる正義に立って懸命であったと思っている。
その意味でどちらの善悪をも論じたくはない。
ただ時流というものであろう。
その歴史の中でそれぞれがその一足を刻んで歴史を作ってゆく。
有名無名に関わらず。
以て冥すべし。
幕末史は面白い。
色々な人物が転がっているように思える。
そのような様々な人々のそれぞれの戦いを何冊も読んで、やっと何となく維新回天の姿が朧気ながら見えて来るような気がする。
何故なら…歴史は勝者によって作られるというのが常だからである。
しかし、竜馬が未だに根強い人気を持っているのは、やはり現代人が時代に不満だらけだからなのだろうか…?
日本人的には、カラマーゾフの兄弟より、こちらが断然上。
竜馬の生き様は、日本人として誇りですらある。

史上最高の小説として、カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)が名高い。
5巻すべて読んだ。
確かに人間の醜さも含めて、極めて多重層的に構成されていて圧巻だ。
しかし、僭越ながら、So what?という気持ちになったのも事実である。
小説を堪能した娯楽感としては、最上のもののひとつであったが。
しかし、竜馬がゆくの位置付けは違う。
40歳を超えて初めて読んでおきながら、人生観の最も深いところで影響を及ぼした書籍と言い切ることができる。
こんな男が日本の歴史の中に間違いなく存在したのだ。
気持のいいぐらい無私に徹し、薩長同盟、大政奉還という明治維新の最重要シナリオをすべて一人で描き切り、実現せしめた男。
間違いなく、日本の歴史上で一等の英雄であろう。
当たり前のことであるが、史実通りに、この小説の終末において、大政奉還のわずか一カ月後竜馬は死ぬ。
天命のために、竜馬は最初から命など天に預けっぱなしであった。
大事を成しても、地位すら求めなかった。
これだけの器の大きさは、小説においても、歴史においても、現実においてもとんと巡り合ったことはない。
参考になった箇所は以下の通り、→維新後、当然なことであるが、生者は栄え、死者は忘れられた。
竜馬の名も、一部土佐人のほかは知る者も稀になった。
→私心を去って自分をむなしくしておかなければ人は集まらない。
人が集まることによって智恵と力が持ち寄られてくる。
仕事をする人間というものの条件の一つなのであろう。
→竜馬の面白さは、その豊かな計画性にあるといえるだろう。
幕末に登場する志士たちのほとんどは討幕後の政体を、鮮明な像としては持っていない。
竜馬のみが鮮明であった。
そういう頭脳らしい。
→千葉さな子は独身で世を終わった。
→おりょうは放浪の末、横須賀に住み、人の妾になったりした。
明治39年、66歳で死んでいる。
→天が、この国の歴史の混乱を収拾するためにこの若者を地上にくだし、その使命が終わったとき惜しげもなく天に召しかえした。
→刺客たちの名は維新後の取り調べでほぼ判明するのだが、幕府の見廻組組頭佐々木唯三郎指揮の六人であった。
→この長い物語も、終わろうとしている。
人は死ぬ。
竜馬も死ななければならない。
その死の原因が何であったかは、この小説の主題とは何の関わりもない。
筆者はこの小説を構想するにあたって、事をなす人間の条件というものを考えたかった。
それを坂本龍馬という、田舎生まれの、地位も学問もなく、ただ一片の志のみをもっていた若者にもとめた。
主題は、いま尽きた。
竜馬は、暗殺された。

竜馬の死
竜馬の死について、余計な脚色をせず淡々と述べている所がよいです。
8巻という長さもまったく感じられないくらいおもしろかったです。
日露戦争で、皇后の夢に出てくる逸話。
この小説を読んだ後では、竜馬が忘れられようとしていた存在であることが意外です。
薩長が故意に無視したのか、それとも実際は数ある志士の一人にすぎないのか。
きっと、志士一人一人に物語があるのでしょうね。
興味がつきません。
竜馬がゆく〈8〉 (文春文庫)司馬 遼太郎

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